あらすじ
雨宮夕日はごく普通の平凡大学生だった…ハズが、ある日現れたトカゲに「地球の危機」を救う協力を依頼される。拒否する間もなく、既に指輪と能力が与えられ、早くも敵に襲われてしまった夕日を救ったのはなんとお隣さんの少女・さみだれ。彼女にはデッカイ企みがあった!?平凡な日常と奇妙な世界が交錯する新感覚ご近所ストーリー!!
Amazonより引用”
作品情報
作品名 | 惑星のさみだれ |
作者 | 水上悟志(みずかみさとし) |
出版社 | 少年画報社 |
発売日 | 2010年11月30日 |
掲載誌 | ヤングキングアワーズ |
完了 | 全10巻 |
掲載内容
- 第60話 惑星のさみだれ・1
- 第61話 惑星のさみだれ・2
- 第62話 惑星のさみだれ・3
- 第63話 惑星のさみだれ・4
- 第64話 ほしのさみだれ
- 最終話 終わるものと続くもの
10巻のおおまかなあらすじ
・アニマの攻撃を受けたアニムスには、もはや抵抗や回復する力が残っておらず、そのままアニマに看取られ死亡する。
・地球を守った喜びもつかの間、さみだれと夕日が騎士団に対し「これから地球を破壊します」と宣言。
・状況を理解できない騎士団であったが、計画を知っていた白道を筆頭に、騎士団は夕日に戦いを挑む。三日月はアニムスの攻撃を受けすぎており、戦いに参加できず。
・騎士団の総攻撃をいなし続ける夕日。奮闘も虚しく、ついに騎士全員の体力が尽きてしまう。
・騎士団を無力化した夕日。騎士団に対し、「僕はさみだれが好きなんです。」「だから、あの子を止めるのは僕でありたい」と宣言。さみだれとの一騎打ちを名乗り出ます。
・様々な出会いと別れを繰り返した夕日が、もはや世界を恨む人間では無い。と理解していたさみだれは「こうなると思っていた」と夕日との決闘を受け入れます。
・持病で死を決定づけられていたさみだれ。自分だけ死んで、世界に置いて行かれる事に耐えられず、誰に何を言われようが、地球破壊計画を止める事ができない精神状態になってしまっていた。
・夕日は、全力でさみだれに立ち向かうが、地力が違いすぎて全く勝負にならない。
・「夕日なら止めてくれると思った」とさみだれは失望の声を残し、地球を破壊すべく遥か上空へ移動していく。
・掌握領域を足場に跳躍し、必死にさみだれに追いつこうとする夕日。しかし、夕日の掌握領域に限界がきて、その手が届く事はなかった。
・その時、戦闘不能になっていた騎士団が、夕日の元に集結。全員がさみだれへの想いを乗せて掌握領域を展開する。
・騎士団全員の掌握領域を使い、さらに上空へ跳ぶ夕日。全身全霊のジャンプの末、ついに夕日は上空のさみだれに追いつきます。
・追ってきた夕日に「もう止められない!自分だけ残してみんなは未来へ進んでいく!」と感情をぶつけるさみだれ。
・そんなさみだれの悲痛な叫びに対し、夕日は「君を愛している。君の人生を僕が背負う。」「一緒に生きて、一緒に死のう」と伝え、最後に「僕がついてる」とさみだれに手を差し伸べます。
・夕日をはじめ、騎士団達の愛情に気付いたさみだれは泣き崩れ、握っていた拳をほどき夕日の手をとる。
・地球破壊の危機を完全に乗り切った騎士団。アニマをはじめ、精霊たちがその役目を終え、別れの時間がやってくる。
・騎士と精霊がそれぞれ別れの挨拶を済ましていく中、夕日と三日月が「結局どちらが強いか?」という小学生レベルの喧嘩を始める。
・それぞれの掌握領域を使った攻防戦が繰り広げられるが、突然、掌握領域が消滅。精霊達が完全に消滅する時間がやってくる。
・夕日と三日月は、それぞれの精霊に感謝と別れの言葉を残す。さらに、お互いの精霊から「最後の勝負だ、絶対に勝て」と激励を受けます。
・掌握領域を失ったが、二人は肉弾戦に切り替え、戦いは数時間に及んだ。
・戦いを見学していた騎士団が空を見上げると、ビスケットハンマーの破片が流星群となっている事に気付く。これらの流星群を「ほしの五月雨(さみだれ)と命名する。
・夕日と三日月、二人が拳を振り上げ最後の攻撃を繰り出す。結果、三日月の蹴りが夕日の顔面をクリーンヒットする。
・夕日は完全にダウンし、三日月の勝利となった。まさかの主人公敗北である。
・地球を守る戦いが終わり、それから10年の月日が経過、さみだれはアニマの力を受けていた影響もあったのか、奇跡的に持病の治療に成功していた
・騎士団もそれぞれ進学や就職をしており、今でも交流を取りあっていた。交際や結婚に至る団員も多い様子。もちろんさみだれと夕日も関係は良好な様子。
・久しぶりに全員で集まり、海で遊ぶ騎士団。
・みんなが迎えた未来の中に、自分が存在していられる奇跡と幸せを噛み締めたさみだれは、誰にも気づかれないよう、ひっそりとピースサインを作った。
「惑星のさみだれ」 完
地球を守る物語から、騎士達の成長譚へ
「惑星のさみだれ」のラスト1ページはさみだれのピースサインと、「僕たちは大人になった」という言葉で締められています。
これは、さみだれが奇跡的に生還し、大人になった。という身体的な成長という意味と、夕日やさみだれを筆頭に、騎士団の人間的な成長を指している言葉になります。
失う物も少なくない戦いでしたが、どんな危機に陥っても、彼らなら乗り越えられるんだろうな。と爽やかな読後感を与えてくれる素晴らしいラスト1ページでした!
大人勢のカッコよさ
本作に登場する大人は、半月や秋山はもちろんですが、基本的に頼もい人物ばかりでした。
特に、さみだれと夕日が地球破壊を宣言した際は、殺してでも止める。というのではなく、「骨の一つでも折れたら打ち上げができんぞ」と、たしなめる南雲は本当に男前指数高すぎです。
また、夕日1人に騎士団が制圧されてしまったのも、間違っても殺さないように、力をセーブしていたから。というのもまた騎士団の格も落とさず良い塩梅でした。
さいごに
魔法使いと騎士団による、地球を守る物語が終了しました!
やっぱり前半はちょっと気恥ずかしいな。と思える描写も多いんですが、そんな描写があっ宝こその中盤以降の盛り上がりが、この作品の素晴らしいところです。
また、極端にシリアスにならないように表現が配慮されているので、万人におすすめできる作品です。
今までのレビューでは書ききれていない、グッとくる描写もまだまだたくさんありますので、少しでも気になった方は、是非書店や電子書籍などで騎士団達の成長譚を体験してください!!
「惑星のさみだれ」10巻に渡って、拙いレビューにお付き合いいただき、本当にありがとうございました!!!